カナダで行われた86,144人の調査から、肥満の女性は、肥満の男性よりぜん息になるリスクが高いことが分かった。また、肥満の女性は、標準体重の女性よりぜん息のリスクが85%高く、肥満の男性は、標準体重の男性より21%高かった。BMIが1ユニット増加するとリスクが女性では6%増加し、男性では3%増加した。
以上のことから、ぜん息は肥満と関係するが、女性と男性とでは異なっていることが明らかとなった。
【文献】
Chen, Y. et al.: The Association Between Obesity and Asthma Is Stronger in Nonallergic Than Allergic Adults. Chest 130: 890-895. (2006)
2006/09/29 サラダの栄養価
17,500人以上の男(8,282人)女(9,406人)の食事データを分析したところ、生野菜のサラダの摂取量は、血中の葉酸、ビタミンC、ビタミンE、リコピン、α-カロテン、β-カロテンの濃度と相関していることがアメリカ・カリフォルニア大学とルイジアナ州立大学の共同研究から明らかとなった。
【文献】
Su, L. J. and Arab, L.: Salad and Raw Vegetable Consumption and Nutritional Status in the Adult US Population: Results from the Third National Health and Nutrition Examination Survey. J. Amer. Diet. Assoc. 106: 1394-1404. (2006)
2006/09/28 糖尿病予防には減量が最適
糖尿病予防のため肥満の人(1079人、平均BMI=33.9)を対象に3.2年間調査を行った結果、減量が糖尿病の発症リスクを減らすのに最も効果的だあることが分かった。1キログラム体重を減らすと糖尿病の発症リスクが16%減る。また、体重を減らすには脂肪の摂取を減らし、運動が効果的であるとしている。
【文献】
Hamman, R. F. et al.: Effect of Weight Loss With Lifestyle Intervention on Risk of Diabetes. Diabetes Care 29: 2102-2107. (2006) [DOI: 10.2337/dc06-0560]
2006/09/26 ビタミンD不足は高齢者の転倒リスクを高める
男女1231人(65歳以上)を調査したオランダの研究から、血液中のビタミンDが不足している高齢者は、十分にビタミンDを摂取している高齢者に比べて、転倒する回数が多いことが分かった。また、ビタミンD不足の人は、1年間に2回転倒するリスクが78%高くなる。
ビタミンDは骨の健康維持に重要な役割を果たすが、筋肉質量や強度にとっても重要であり、筋肉を損なうと転倒リスクが高まるためと考えられている。
【文献】
Snijder, M. .B. et al.: Vitamin D Status in Relation to One-Year Risk of Recurrent Falling in Older Men and Women J. Clin. Endocrinol. Metabol. 91: 2980-2985. (2006) [doi: 10.1210/jc.2006-0510]
2006/09/25 将来5人に1人は肥満児:アメリカ
アメリカ医学研究所(IInstitute of Medicine: OM)が、アメリカの児童の17%が肥満であるが、今後10年で子どもの5人に1人が肥満児になる可能性があるとが報告したとCNNが伝えている(06/09/16)。
IOMによると、プログラムは肥満傾向にある児童を対象として、保護者や学校、地域社会、食品産業、政府が連携して取り組んできた。アメリカ疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)の実施した「Verb」プログラムでは、外遊びが減り始める9-13歳の児童の運動を30%も増やすことが出来た。しかし、予算削減に伴い、今年打ち切りに追い込まれた。
IOMの報告書は、最善策を見極めるためにはさらなる調査が必要だと述べ、子供の肥満が増えている現状を改革するのに必要な国の指導力が不足していると指摘している。
アメリカ疾病対策センターの元長官で、IOMの委員会のエモリー大学のジェフリー・コプラン博士は、「急性感染症への対応とは性質が異なるが、こうした疾病と同様に子供の肥満対策を重視するべきで、予算削減は問題だ」とコメントしている。また、カリフォルニア大学の研究者トニ・ヤンシー氏は、健康的な食習慣と運動が必要だという認識を定着させるため、社会全体の変化が必要と述べた。
上記CNNの記事は下記のサイトで読める。
http://www.cnn.com/2006/HEALTH/09/13/child.obesity.ap/index.html
2006/09/24 イギリスの給食改革:毎日、給食に果物・野菜を2品目
子供たちの肥満を防ぐためにイギリスでは、9月から学校給食にジャンクフード(チョコレート、ポテトチップス、炭酸飲料、質の悪い肉など)の利用が禁止され、果物と野菜を毎食ごとに2品以上とし、揚げ物は週2回までとする給食改革がスタートしたとBBCが伝えている(06/09/19)。
イギリスでは2-15歳までの約30%が太り過ぎとされ、子どもの肥満が大きな問題になっている。そこで、政府は学校給食の改善のために2.8億ポンドの支出を約束し、テレビの人気シェフであるオリバー(Oliver)さんを使ったキャンペーンが行われている。
イギリス教育技能省のアラン・ジョンション(Alan Johnson)長官は、今回の改革で示した新しい規格により、学校が提供する食べ物は健康的であることを保障すると語った。また、生徒たちは、学校給食から健康的なバランスのよい食事について学び、正しい選択が出来るようになると述べている。
BBCの上記記事のサイトは下記
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/education/4995268.stm
2006/09/23 マラソンランナーは渇きを感じたら給水が必要
マラソンランナーが走っているときどのくらい給水する必要があるかについては色々な考え方がある。例えば、アメリカンカレッジ・スポーツ医学(American College of Sports Medicine: ACSM)のガイドラインでは、1時間当たり600-1200mlの給水を推奨している。
一方、国際マラソンドクター協会(International Marathon Medical Directors Association: IMMDA)の専門家は、状況に応じ柔軟な対応が必要であり、最も普遍的な基準は「渇き」であると報告した(文献)。
【文献】
Hew-Butler, T. et al.: Updated Fluid Recommendation: Position Statement From the International Marathon Medical Directors Association (IMMDA). Clin. J. Sport Med. 16: 283-292. (2006)
2006/09/22 アルツハイマー病になっても新しい記憶が出来る:マウスで
アルツハイマー病が発症したトランスジェニック・マウスに酵素(ubiquitin
C-terminal hydrolase L1 (Uch-L1))を注射したところ、マウス新しい記憶を作る能力が回復したとアメリカ・コロンビア大学の研究チームが報告した。今後、治療法への進歩が期待される。
【文献】
Gong, B. et al: Ubiquitin Hydrolase Uch-L1 Rescues β-Amyloid-Induced Decreases in Synaptic Function and Contextual Memory. Cell 126: 775-788. (2006)
2006/09/21 食事からのビタミンEの摂取量が低いとぜん息になりやすい
イギリスで2,000人の妊婦とその子供を5年間追跡調査したところ、妊娠中に食事からのビタミンEの摂取量が最低であった群の母親の子供は、最高であった群の子供の5倍もぜん息になるリスクが高いことが分かった。妊娠16週目までが特に重要な期間であると研究者らは述べている。
この研究結果から研究者らは、ビタミンEだけを摂取するべきではなく、バランスの良い健康的な食事から毎日のビタミンEの推奨量を摂取することが重要であると述べている。
果物摂取とぜん息との関係について近々、果物&健康NEWSで取り上げる予定。
【文献】
Devereux, G. et al.: Low maternal vitamin E intake during pregnancy is associated with asthma in 5-year-old children. Am. J. Respir. Crit. Care Med. 174: 499-507. (2006) [doi: 10.1164/rccm.200512-1946OC]
2006/09/20 リンゴが肺機能を良好に保つ
イギリスで行われた45~49歳の男性2,500人以上の食事と肺機能の調査から、良好な肺機能はビタミンC、E、ベータカロテン、カンキツ、リンゴ、果物ジュースの高摂取と関係があるらしいことが分かった。しかしながら、統計的に有意差が見られたのはリンゴだけであった。
1週間当たり5個以上のリンゴを食べている人は肺機能が良好で、そうでない人に比べて肺容量が138ml大きかった。
【文献】
Butlanda, B.K. et al.: Diet, lung function, and lung function decline in a cohort of 2512 middle aged men. Thorax 55: 102-108. (2000)
2006/09/19 果物を無料で学校に提供:意外な調査結果
アメリカ・ミシシッピー州で、リンゴ、オレンジなど新鮮果物を学校の子供たちに無料で提供した結果、果物の摂取量が増えたことが分かった。
2004-2005年にグレード5(小学5年)、グレード8(中学2年)、グレード10(高校1年)の学生851人に果物と野菜を無料で提供した。その結果、グレード8とグレード10の学生で果物の摂取量が増加し、果物の無料提供が効果的であると考えられた。しかし、グレード5では消費は増えたようには見えなかった。グレード5で摂取量が増えなかった理由として、幼い子供は、果物や野菜などカロリーに低い食品より、カロリーの高いバターなどの食品を好む傾向にあるためではないかと考えられている。一方、野菜ではどの学年でも消費が増えたとは認められなかった。
この調査結果は意外であった。小学生の方が学校の先生の言いつけを守るのではないかと思っていたが、むしろ、中高生に果物を配布する方が消費拡大につながることが分かった。思春期になると食生活がかわることと関係しているのかも知れない。この調査結果から考えると、ダイエットと結びつけて中高生に果物を配ることは有効ではないか。
【文献】
Schneider, D.J. et al.: Evaluation of a Fruit and Vegetable Distribution Program - Mississippi, 2004-05 School Year. Morbidity and Mortality Weekly Report 55: 957-961. (2006)
2006/09/18 やせ過ぎモデル規制の動き、広がる
スペインでやせ過ぎのモデルがファッションショーへの出演を禁止されたが、イギリスでも同様の動きが出ている。
ロンドン・ファッションウィークが18日から始まるが、食事障害防止団体や閣僚がやせ過ぎのモデルへの懸念を相次いで表明した。スペインと同様に、身長と体重の比率BMIが18にを満たないやせ過ぎのモデルをショーに出さないよう求めている。
ガーディアン紙やデーリーメール紙によると、ジョウェル(Tessa Jowell)文化相は、もっと現実的な体型の健康な女性になるよう呼び掛けている。同相は「若い女性の行動や感情を形づくる上で、ファッションが果たす力を一瞬たりとも過小評価してはならない」と語っている。また、食事障害協会のスポークスマンは、規制は増大している拒食症や病的飢餓のレベルを減らすのに有益であると語った。
しかし、ファッションショーの主催者はこうした要請を拒否している。その理由として、ファッションに対して創造的な自由がデザイナーに与えられる必要があるとしている。また、モデルを決めるのはデザイナーで、こうした要請に冷淡というわけではないと述べている。
ガーディアン紙の上記記事は下記のサイトで読める。
http://observer.guardian.co.uk/uk_news/story/0,,1874322,00.html
デーリーメール紙の上記記事は下記のサイトで読める。
http://www.dailymail.co.uk/pages/live/articles/news/news.html?in_article_id=405431&in_page_id=1770
毎日新聞(06/9/18)が、「少女らに誤ったメッセージを送る」としてスペイン・マドリードのファッションショーでモデル5人がやせ過ぎ禁止で失格となったと伝えている。
事前の身体測定では、モデル68人中5人が規定値に達せず出場禁止となった。身体測定はBMIが18以上とする拒食症防止のための地域規定に基づいて実施された。イタリア・ミラノのファッションショーも規定導入の動きがあるという。
2006/09/16 ヤングアダルトに対する果物・野菜摂取への動機づけ
アメリカ・南ダコタ州立大学の研究グループは、栄養学を学んでいない大学生(18-24歳)に対し、果物と野菜の摂取の動機づけを行った。
参加した大学生に対し、4回のニュースレター、1回のインタビュー、E-mailによる個別のフォローアップを4ヶ月間行った。対象グループの果物と野菜の摂取の増加量は1日当たり0.4サービングであったが、動機づけが行われたグループの果物と野菜の摂取の増加量は1日当たり1サービングと統計的に有意に摂取量が増加した。
以上のことから、コンピュータなどを使った上記の方法は、ヤングアダルトに対する果物と野菜の摂取量を増やすのに効果的であると著者らは述べている。
【文献】
Richards, A. et al.: Motivating 18- to 24-Year-Olds to Increase Their Fruit and Vegetable Consumption. J. Am. Diet. Assoc. 106: 1405-1411. (2006)
2006/09/15 高カロリー、低食物繊維食が子供の肥満の原因
高カロリー、低食物繊維食はホルモンのインバランス(不均衡)を招き、子供の過食につながると、アメリカ・カリフォルニア大学のRobert
H. Lustig教授が述べている。
アメリカでは、子供の最も一般的な疾患は肥満であり、以前は成人にのみ見られた2型糖尿病などの疾患が、現在では子供の間で広がりを見せている。
現在の食品環境は、カロリーの摂取量が多く、食物繊維の消費量が低下しており、そのため、
脂肪組織へのエネルギーの蓄積や レプチンによる情報伝達などによりインシュリンの分泌に影響を及ぼし結果として肥満になるとしている。
【文献】
Lustig, R. H.: Childhood obesity: behavioral aberration or biochemical
drive? Reinterpreting the First Law of Thermodynamics. Nature Clinic. Prac. Endoc. Metabol. 2: 447-458. (2006) [doi: 10.1038/ncpendmet0220]
2006/09/14 アメリカ31州で成人肥満率が増加
アメリカでは成人肥満率が31の州で増加し、およそ3分の2の人々が糖尿病、脳卒中、がんといった致命的疾患で亡くなっているとTrust for America's Health (TFAH)2006年版に掲載された。アメリカ・連邦政府や州政府が過体重を抑制する努力をしているにもかかわらず、成人肥満率は1980年の15%から、2004年には32%と増加した。
下記のサイトで報告の要約が読める。
http://healthyamericans.org/reports/obesity2006/
2006/09/13 果樹研究所と京都府立医科大のウンシュウミカンの研究がBBCに掲載
BBC(2006.9.11)は、果樹研究所で行われたカロテノイドを含むウンシュウミカンは肝疾患、動脈硬化、インシュリン抵抗性のリスクを下げる研究と、京都府立医科大学で行われたウンシュウミカンジュースを飲み続けると慢性ウイルス性肝炎の患者の肝臓ガン発症のリスクを減らす研究を、イギリスの二人の研究者のコメントともに報道した。
果樹研究所の研究では、三ケ日町に住む1,073人を調査した結果、ウンシュウミカンを多く摂取している人は、重篤な疾患と関係する化学マーカーの値が低いことを見いだした。
イギリス・ハート財団(BHF)のCathy Rossは、「この研究は、イギリス・ハート財団が推奨している果物と野菜を1日あたり少なくとも5単位食べることを支持する結果である」と述べている。そして、「異なった色の果物と野菜には、異なったビタミンとミネラルを含んでいるので、食事の中に様々な果物や野菜を取り入れるのがよい」とコメントした。
京都府立医科大学の研究チームは、30人の患者に対して慢性ウイルス性肝炎の患者にカロチノイド含んだウンシュウミカンジュースを毎日、1年間の飲用してもらったところ1年後に、肝臓ガンに罹患した人はいなかった。一方、ジュースを飲まなかった45人の患者のグループで8.9%の発症があった。今後この研究をさらに5年間を続けるのを計画している。
イギリス・チャリティー・ガン研究所のEd Yongは、この研究の意義を認める一方、サンプルサイズを大きくする必要があると述べるとともに、喫煙やアルコールの過度の飲用による肝硬変が肝臓ガン発症により影響するように見えるので、何か特定の果実で特に強い利益があるかどうかは不明瞭であるとコメントした。
BBCの上記ニューストは下記のサイトで読める。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/5333898.stm
2006/09/12 果物にアニメキャラクター:売り上げアップ
アメリカのスーパーマーケットで果物や野菜にアニメキャラクター(「ミッキーマウス」や「くまのプーさん」)が貼られている。子どもの肥満などに対する懸念を背景に、健康的なイメージ作りを図る娯楽業界と、市場拡大を目指す生産者らの思惑が一致し、キャンペーンが行われている。
青果流通業者のイマジネーション・ファームズ(本社・インディアナ州)は娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーからライセンスを取得し、今年5月以来、全米15カ所の生産大手から届く野菜や果物を、「ディズニー・ガーデン」というブランド名で卸している。すでに店頭に並んでいるのは、人気キャラクターのデイジーダックやグーフィーのシールが付いたモモ、ミッキーマウスの箱に入ったブドウなど。くまのプーさんの印を付けたリンゴも発売予定。
ディズニー・ガーデンの商品を青果売り場全体に広げ、子どもたちをファストフードから呼び戻し、果物の消費を伸ばしたいと同社は考えている。今のところ狙い通り、キャラクター付きのモモやスモモ、ネクタリンは、キャラクターのなかった昨年を上回る売れ行きを示しているという。
過去にも「ポパイのホウレンソウ」といった例があるが、ライセンス契約のコストなどが壁になり、普及しなかった。ディズニーはイマジネーション・ファームとの契約内容を公表していないが、青果業界誌を編集する専門家は、娯楽業界の目的は家庭向けのイメージアップで、ライセンス料でもうけるつもりはないとみられ、料金は低く設定している可能性が高いとみている。
上記CNNの記事は下記のサイトで読める。
http://www.cnn.com/2006/HEALTH/conditions/09/05/cartoon.fruit.ap/index.html
2006/09/11 食物繊維を摂取するために
アメリカ・家庭医協会は、コレステロールを下げ、心臓病、糖尿病のリスクを減らす効果がある食物繊維の摂取を勧めている。健康の維持のための食物繊維を摂取するために、1)毎日、少なくとも4.5カップの果実と野菜を摂取する(食物繊維が豊富なのは、リンゴ、オレンジ、ベリー、セイヨウナシ、ブロッコリー、ニンジンなど)。2)精米されていない玄米や全粒小麦粉のパンを摂取する。3)朝食にふすまのシリアルを摂取する(ただし、食物繊維の量をラベルでチェックする)。4)小麦のふすまを他の食物に混ぜて摂取する。5)頻繁に料理した豆を摂取する。
アメリカ・家庭医協会のサイトは下記
http://familydoctor.org/099.xml
2006/09/10 長時間勤務は血圧を上げる
アメリカ・カルフォルニアで55,000以上の家庭を対象とした調査によると、週40時間以上働いている人は、週11~19時間働いている人より血圧が14%高く、また、週41~50時間働いている人は血圧が17%高いことが分かった。職業別では、事務職と非熟練労働者は専門職より高血圧が高かった。事務職は専門職より23%高く、非熟練労働者は専門職より50%高いことが分かった。
【文献】
Yang, H. et al.: Work Hours and Self-Reported Hypertension Among Working People in California. Hypertension Online Aug. 28. (2006) [doi: 10.1161/01.HYP.0000238327.41911.52]
2006/09/09 食事摂取基準に関するガイド版の発行
アメリカとカナダの専門家チームが「食事摂取基準:栄養所要量に関するエッセンシャルガイド(Dietary Reference Intakes:The Essential Guide to Nutrient Requirements」(2006年版)を発行した。推奨食事許容量、適量摂取レベル、生活習慣病予防のための許容限界摂取量、栄養表示の指導原理、食事摂取のための計画とその方法、食物繊維の新しい定義、摂取量確立のためのリスクアセスメントなど。
本の概要は下記のサイトにある(注文も出来る)。
http://newton.nap.edu/catalog/11537.html
2006/09/07 BMIやウエスト周り:高齢男性で健康リスクと関係
BMIやウエスト周りなどの簡単な測定で、適切に健康リスクを判断することができかについて議論されているが、少なくともイギリスの高齢の男性では効果的であることが断面研究から分かった。60~79歳のイギリス人男性4242人を調査したところ、BMIやウエスト周りの寸法は、体脂肪量指数と密接に関係していた。
【文献】
Ramsay, S. E. et al.: The Relations of Body Composition and Adiposity Measures to Ill Health and Physical Disability in Elderly Men. Am. J. Epidemiol. 164: 459-469. (2006) [doi: 10.1093/aje/kwj217]
2006/09/06 抗酸化物質が網膜退化を抑制
ビタミンE、ビタミンCなど抗酸化物質をマウスに投与したところ網膜退化の進行が抑制されたと、アメリカ・ジョンホプキンス大学の研究チームが発表した。
網膜退化は失明の原因でアメリカには10万人の患者がいるとされている。果物や野菜には、こうした抗酸化物質が多く含まれているが、人に対する治療効果については今後の課題である。
【文献】
Komeima, K. et al.: Antioxidants reduce cone cell death in a model of retinitis pigmentosa. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 103: 11300-11305. (2006) [doi: 10.1073/pnas.0604056103]
2006/09/05 ビタミンB6はパーキンソン病のリスクを下げる
ビタミンB6を多く含む食品を摂取するとパーキンソン病リスクが減少するとオランダの調査から分かった。
5,289人の男女を対象に調べた結果、ビタミンB6の摂取が最も多い群では、もっとも少ない群に比較してパーキンソン病の発症リスクが半分であった。
ビタミンB6は神経系の機能の代謝に必須で、牛のもも肉やナッツ、バナナなどに含まれている。また、カロリー単位で比較すると果物に含まれているビタミンB6は、牛乳などよりも多い。
【文献】
de Lau, L. M. L. et al.: Dietary folate, vitamin B12, and vitamin B6 and the risk of Parkinson disease. Neurology 67: 315-318. (2006)
2006/09/04 果物・野菜など低カロリーで体積の大きい食品は健康に有益
アメリカで、成人7500人を調査した結果、果物や野菜など低カロリーで体積の大きい食品を摂取する人は、食べる量は多くても総摂取カロリーは低く栄養素のバランスも良いことが分かった。
果物や野菜などを多く摂取している人は、肉やスナックなどを摂取している人に比べて摂取カロリーが1日当たり100kcal低いだけでなく、カルシウム、鉄、カリウム、ビタミンA、C、B6、葉酸の摂取量は逆に多かった。
その理由は、高カロリーで体積の小さい肉やスナックなどに比べて、果物や野菜などはカロリーが低く、体積が大きいので、満腹感が得られるためである。
【文献】
Ledikwe, J. H. et al.: Low-Energy-Density Diets Are Associated with High Diet Quality in Adults in the United States. J. Am. Diet. Assoc. 106: 1172-1180. (2006)
2006/09/03 「やせ」は太り過ぎより心臓病の死亡リスクが高い
80,845人の患者のデータから、心疾患や急性動脈症候群のリスクが高いのは「やや肥満(BMIが25-29.9)」や「肥満(BMIが30-39.9)」の人ではあるけれども、積極的な治療を受けて予後がよく、死亡率は「標準体重(BMIが18.5-24.9)」の人より低いことがアメリカ・カルホルニア大学の研究から分かった。
一方、「やせ(BMIが18.5以下)」の人は極端な肥満症の人と同様に心疾患による死亡率が高いことが示された。
若い人のみならず多くの人が「やせ」を目指しているが、その健康上の問題点も伝えていく必要があるように思う。
【文献】
Diercks, D.B. et al.: The obesity paradox in non-ST-segment elevation acute coronary syndromes: Results from the Can Rapid risk stratification of Unstable angina patients Suppress ADverse outcomes with Early implementation of the American College of Cardiology/American Heart Association Guidelines Quality Improvement Initiative. Am. Heart J. 152: 140-148. (2006)
2006/09/02 腎臓結石予防にはレモネードよりオレンジジュース
毎日1杯のオレンジジュースで腎臓結石を予防でき、レモネードなど他のカンキツよりも優れているとアメリカ・ユタ州のSouthwestern Medical Centerの研究者が発表した。
研究では、13人の被験者に対し、クエン酸塩、オレンジジュース、レモネードを飲用してもらい各段階の尿と血液を調べた結果、オレンジジュースが尿中へのクエン酸塩の排出レベルを上げ、尿酸血症の生成を抑える、レモネードよりも優れていることが分かった。
【文献】
Odvina, C. V.: Comparative Value of Orange Juice versus Lemonade in Reducing Stone-Forming Risk. Clin. J. Am. Soc. Nephrol. Online Aug. 30 (2006) [doi: 10.2215/CJN.00800306]
2006/09/01-2 健康な十代女子でもビタミンD不足
イギリスで行われた研究によると、健康な十代女子でも、ビタミンDの血中レベルが不足気味であることが分かった。14人の白人と37人の非白人の少女(平均15.3歳)を対象に血液中のビタミンDとの関係について調査を行った結果、73%はビタミンD不足、17%は非常に不足していることが分かった。また、白人に比べ非白人でビタミンDの血中レベルが低いことも分かった。研究者らは、その原因として日光への暴露が少ないことが原因と分析している。
この論文は骨の形成に必要なビタミンDが、多くの若い女性で不足していることを示している。同時に、カルシウムを十分に摂取していても、ビタミンDの不足が原因で骨の形成に問題があることも示している。
【文献】
Das, D. et al.: Hypovitaminosis D among healthy adolescent girls attending an inner city school. Arch. Dis. Child. 91: 569-572. (2006)[doi: 10.1136/adc.2005.077974]

2006/08/31 黄色色素ルテイン・ゼアキサンチンで加齢性視力低下抑制
アメリカ・アイオワ、オレゴン、ウイスコンシン州に住む50~79歳の女性1787人を対象とした疫学調査の結果から、黄色色素であるルテインとゼアキサンチンを豊富に含んだ食事をしている75歳以下の人は、加齢とともに起こる眼科疾患(黄斑変性など)のリスクが低いことが分かった。
研究者らは、これら化合物が青色光を吸収し活性酸素打ち消すことで損傷を抑制し、かつ、眼細胞膜を強くする作用があるためと推測している。
【文献】
Moeller, S. M. et al.: Associations Between Intermediate Age-Related Macular Degeneration and Lutein and Zeaxanthin in the Carotenoids in Age-Related Eye Disease Study (CAREDS) - Ancillary Study of the Women's Health Initiative. Arch. Ophthalmol. 124: 1151-1162. (2006)
2006/08/30 高脂肪と銅で高齢者の認識力低下
飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、銅の摂取量の多い高齢者は、思考能力や学習能力、記憶能力の低下が加速されることが分かった。
アメリカ・シカゴに住む65歳以上の3,718人を対象に6年間調査したところ、認識力の低下は飽和脂肪酸とトランス脂肪酸を多量に摂取と関連しており、銅の摂取で加速すること分かった。一方、鉄と亜鉛にはそのような効果は見られなかった。
【文献】
Morris, M. C. et al.: Dietary Copper and High Saturated and trans Fat Intakes Associated With Cognitive Decline. Arch. Neurol. 63: 1085-1088.
(2006)
2006/08/29 果物と野菜で脳卒中予防:25万人以上の調査から
257,551人を対象にヨーロッパ、日本、アメリカで行われた8つの調査から果物と野菜を3~5サービング食べている人は3サービング以下の人より脳卒中のリスクが11%低い。また、5サービング以上食べている人は3サービング以下の人より26%低いことが分かった。以上の結果から、著者らは毎日5サービング以上の果物と野菜の摂取を勧めている。
果物と野菜はビタミンCやβ-カロテン、カリウム、植物性タンパク質、食物繊維など栄養素が豊富に含まれているにもかかわらず、カロリーが低い。さらに、脂肪がほとんどなく、抗酸化物質が多い。とはいえ、今回の調査結果に一番大きく貢献したのはカリウムではないかと著者らは推測している。
1サービング:果物80g、野菜77g
【文献】
He, F. J. et al.: Fruit and vegetable consumption and stroke: meta-analysis of cohort studies. Lancet. 367: 320-326. (2006)
2006/08/27 12時間ごとに脳卒中のリスクが高まる
脳卒中は朝と夜の2度高まると岩手医科大学の研究グループが発表した。12,957人を対象に調査したところ、朝と夜の各6時~8時に脳卒中のリスクが高くなり、また、睡眠中が最も低いことが分かった。虚血性の脳卒中は朝に多く、出血性の脳卒中は夜に多く発生した。
この研究の新しいところは、患者の頭部をMRI(核磁気共鳴画像法:Magnetic
Resonance Imaging)で測定した画像を解析しているところにある。この画像の解析から、朝晩に脳卒中のリスクが高まる理由は、血圧が朝晩で高く、血小板が固まりやすい傾向にあり、血液が濃くなっているためではないかと研究者らは推論している。
【文献】
Omama, S. et al.: Differences in circadian variation of cerebral infarction,
intracerebral haemorrhage and subarachnoid haemorrhage by situation at onset. J. Neurol. Neurosurg. Psychiatry. Online Aug. 17. (2006) [doi:
10.1136/jnnp.2006.090373]
2004/08/24-25 BMIと冠動脈心臓病:「やせ」の方が問題
体格指数(BMI)と冠動脈心臓病の死亡率との関係について40の論文(被験者250,152人)検討を行った結果、BMIが20以下の人は、BMIが30-35に人より死亡率が高いことが分かった。また、死亡率率が最も低かったのはBMIが25-30に人であった。
司会にファッションモデルを使いその食生活を紹介する健康番組があった。このメッセージは、誰でもこの番組を見ればスマートになれるだろう。しかし、登場しているモデルのBMIは18以下であり、番組のねらいとは逆に科学的データは不健康であることを示している。
番組を見る人が多ければよいとの風潮とつながっているようで心配である。
【文献】
Romero-Corral, A. et al.: Association of bodyweight with total mortality and with cardiovascular events in coronary artery disease: a systematic review of cohort studies. Lancet 368: 666-678. (2006) [DOI:
10.1016/S0140-6736(06)69251-9]
2006/08/21 インターネットの怖さ
科学的な記事の検討を行うためには一次資料(文献)に当ることは必須である。しかし、「病気にならない生き方」の著者、新谷弘実氏はそれを怠ったのであろう。文献に当たっていれば、「米国人7万8000人を12年間追跡し牛乳を飲むほど骨粗鬆(こつそしょう)症になる関係を明らかにしたハーバード大の研究がある」とはしないだろう。文献の要約を読むだけでもそのことは分かる。
この論文の都合の良い誤訳は、初めてではなくトンデモ本の世界では有名なようだ。「だれもが100%スリム!常識破りの超健康革命」(松田麻美子 著)などにも引用されている。誰かが誤報と知りつつインターネットに流したのではないか。
インターネットの怖いところは、コピー&ペーストで広がると誤訳でもそのまま記事として通用してしまうところにある。そのため、文献に当たるという原則を忘れ、インターネットの検索だけで判断すると、誤った結論に達してしまう。「自分で確かめること」の大切さを改めて思った。
2006/08/20 牛乳は人に大切な食材である
毎日新聞が、牛乳を有害とする「病気にならない生き方」(新谷弘実著:サンマーク出版)を取り上げた。このことに対して、その非科学性について仁木良哉北大名誉教授の批判が下記の毎日新聞のサイトに掲載されている。当然の反論であり、牛乳は人に大切な食材である。
毎日新聞のサイト
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/hokkaido/shoku/
gyunyu/news/20060801hog00m100003000c.html
・牛乳は子牛が飲むもの。人間が飲むのは自然の摂理に反する
仁木 子牛のための牛乳と食品としての牛乳の意義を混同している。人類は牛を紀元前数千年前から家畜化し、牛乳を食べ物として利用してきた。牛乳は気候条件や土壌に恵まれない国や地域の人々の命を支えてきた。この優れた食品である牛乳の利用がなぜ自然の摂理に反するのか。
仁木氏の反論は当然だろう。非科学の典型的な言い回しで、科学的根拠など全くない。自然の摂理を明らかにするのが科学ではないのか。
・米国人7万8000人を12年間追跡し牛乳を飲むほど骨粗鬆(こつそしょう)症になる関係を明らかにしたハーバード大の研究がある
仁木 その論文には「牛乳を飲むほど骨粗鬆症になる」とは書かれていない。牛乳の摂取によって骨折のリスクが減る証拠はないと結論づけているが、日本人の1日所要量に相当するカルシウム(600ミリグラム)を摂取したグループと、それ以上摂取したグループとを比較しており、カルシウム摂取量が所要量まで平均していっていない我々日本人には意味のないデータだ。自分の主張に都合良く訳している。
上記の論文は、Feskanich, D. et al.: Milk, dietary calcium, and bone fractures in women: a 12-year prospective study. Am. J. Public. Health. 87: 992-997. (1997)であり、仁木氏の指摘の通りである。記者は、記事にする前にこの点を自身で確認しているのだろうか。
さらに付け加えるなら、同じグループが骨粗しょう症の発症リスクの制限因子はビタミンDであるとする論文を2003年に発表しており、そこにも「牛乳を飲むほど骨粗しょう症になる」とはどこにも記載されていない。この論文はFeskanich,
D. et. al.: Calcium, vitamin D, milk consumption, and hip fractures: a
prospective study among postmenopausal women. Am. J. Clin. Nutr. 77: 504-511. (2003)である。
2006/08/19 食器の大きさも太る原因
85人の食品・栄養の専門家を招いた会合でアイスクリームのとりわけ量の測定から、体重を減らしたいならば食器のサイズを小さくすることが必要と、アメリカ・コーネル大学の研究者らが発表した。
会合の参加者に対して17オンス(約482cc)または34オンス(約964cc)容量の食器と、2オンス(約57cc)または3オンス(約85cc)のスクープ(さじ)を無作為に渡され、自らアイスクリームを取り分け、その量を測定した。その結果、食器のサイズを2倍にすると取る量が31%増加し、大きめのスクープでは14.5%増加した。
自分が取った分量やそのカロリーを見た目で判断できる食品や栄養の専門家でも大きめの食器を持てば多く取ってしまうことが分かった。
食べ物の摂取に影響を与える要因には、食品の種類、気温、同席者の食べるスピードなどさまざまな因子が指摘されているが、取り分ける食器のサイズも影響することが分かった。
【文献】
Wansink, B. et al.: Ice Cream Illusions: Bowls, Spoons, and Self-Served Portion Sizes. Amer. J. Prev. Med. 31: 240-243. (2006) [doi:
10.1016/j.amepre.2006.04.003]
2006/08/18 ビタミンCは風邪予防に効果的
秋田県の村で5年間、ヒト介入研究を行った結果、ビタミンCは風邪予防に効果的であると国立がんセンターの研究グループが発表した。
ビタミンCのサプリメントを50mg飲用したグループと500mg飲用したグループについて5年間風邪をひいた回数やその程度などを調査した。その結果、ビタミンCの摂取量の多いグループは少ないグループに比較して、試験期間に3回以上風邪にかかるリスクは0.34(0.12-0.97)となり、統計的に有意に66%低かった。
しかし、風邪をひいている期間や症状の程度には差が見られなかった。
【文献】
Sasazuki, S. et al.: Effect of vitamin C on common cold: randomized controlled trial. Eur. J. Clin. Nutr. 60: 9-17. (2006)
2006/08/17 学習に使われた神経細胞は生き残る
大人になっても神経細胞は新たに生まれ、学習や記憶に使われた神経細胞だけが生き残って神経回路に組み込まれる可能性が高いとアメリカ・ソーク研究所の研究グループが発表した。
マウスを用いて学習や記憶にかかわる脳の領域で、遺伝子操作技術により新たに生まれる神経細胞見分けられるようにした。同時にこの神経細胞で特定の神経伝達物質の受容体(NMDA-receptor)が働かず、情報を受け取れないようにしたマウスもつくった。
両方のマウスを比べると、情報を受け取れなくしたマウスでは、新たに生まれた神経細胞の生存率が4分の1に低下していた。このことから、情報を受け取れない細胞は死に、情報を受け取った細胞が生き残り神経回路に組み込まれることが分かった。
以上のことから、大人になっても新たにできる神経回路には、学習した特定の情報が刻みこまれていると考えられた。
【文献】
Tashiro, A. et al.: NMDA-receptor-mediated, cell-specific integration of new neurons in adult dentate gyrus. Nature online 13 Aug. (2006) [doi:
10.1038/nature05028]
2006/08/16 よく食べる果物1位はバナナ、健康・美容ではリンゴ
日本バナナ輸入組合が行った消費動向調査によると、最も食べられている果物はバナナで全体の56.6%で第1位、次いでリンゴ(43.3%)、ミカン(37.0%)の順であった。バナナを食べる理由は、価格が手ごろ(49.3%)で食べやすく(36.1%)、栄養が優れている(34.1%)などの理由が選択されている。
健康・美容に良いと思われる果物として認められているのは、リンゴが43.7%でトップで、次にバナナ(43.4%)、キウイフルーツ(37.3%)と続いている。良く食べられる果物は健康、美容の面と連動しているようだ。ただ、食生活で日ごろ心掛けている点では、野菜を多く摂取する人が64.9%に対して、果物は25.8%とかなり低い値であった。
バナナ・果物消費動向調査結果のダイジェストは下記のサイトで読める。
http://www.banana.co.jp/chousa2/
2006/08/13 コエンザイムQ10の摂取上限量決定困難
コエンザイムQ10について、内閣府食品安全委員会(寺田雅昭委員長)は8月10日に委員会を開催し、データ不足のため安全な摂取上限量を決めることは困難との評価書案を原案通り承認した。評価書では、「原則として医薬品の1日あたりの摂取量(30ミリグラム)を超えないよう配慮することが重要」としたうえで、メーカーに長期摂取の安全性確認や、健康被害情報の収集を求めた。
コエンザイムQ10は、動植物の体内でも合成される物質で、抗酸化作用があるとされ、心不全の治療薬では1日30ミリグラムまでと決められているが、健康食品としての基準はなかった。
食品安全委員会のコエンザイムQ10の評価書は下記のサイトで読める。
http://www.fsc.go.jp/iinkai/i-dai155/dai155kai-siryou1.pdf
2006/08/10 加齢性黄斑変性は摂取する炭水化物の質と関連
高齢者の視野損失の原因の一つである加齢性黄斑変性(AMD)の発症は、摂取する炭水化物の量よりも質と関係があるとアメリカ・タフツ大学などの研究グループが発表した。
アメリカの女性看護師に対するNurses' Health Study (NHS)の10年以上のデータを解析した結果、炭水化物の質の指標であるグリセミックインデックス(GI)の高い食事をしていた女性はGIの低い食事をしていた女性は、加齢黄斑変性症の発症に対し高いリスクがあることが分かった。
パンやフライドポテトのようなGI値の高い食品は、レンズマメや果物などのようなGI値の低い食品より血糖値を急速に上げるためではないかと推測している。
【文献】
Chiu, C.J. et al.: Dietary glycemic index and carbohydrate in relation to early age-related macular degeneration. Am. J. Clin. Nutr. 83: 880-886.
(2006)
2006/08/09 ダミー薬でも定期的に薬を飲むと健康によい
例えダミーの薬(偽薬:プラシーボ)でも定期的に薬を飲む人は、そうしない人に比べて死亡率が低いことが分かったとカナダ・アルバータ大学の研究者らが発表した。
薬物治療に関する21の研究(46,000人以上の患者対象)を分析した結果(メタアナリシス)、指示を良く守り規則的に薬を飲む患者は、守らない患者より死亡リスクが44%低いことが分かった。また、ダミーの薬でも規則的に飲んでいる人は死亡率が低かった。
このことは、「治療されている」あるいは「自己管理している」という認識が疾病の回復に有効であることを示している。
【文献】
Simpson, S. H. et al.: A meta-analysis of the association between adherence to drug therapy and mortality. BMJ 333: 15-18. (2006) [doi:
10.1136/bmj.38875.675486.55]
2006/08/08 心臓の健康によい男性のための生活習慣
2年ごとにBMIや喫煙状態など生活習慣因子に関する詳細な情報を収集するとともに、心疾患と診断された症例の医学的確認を行った結果、禁煙、スリムな体型を保つ、毎日の運動、適量の飲酒、ヘルシーな食事を守ることにより、たとえ高血圧症や高脂血症の治療を受けていても、リスクは低減するアメリカ・ハーバード大学の研究グループが発表した。
40~75歳の男性約4万3,000人を対象に、16年にわたって5つの生活習慣が検討された。その結果、心臓の健康によいものとして、BMI(肥満指数)を25未満に保つ、毎日少なくとも30分運動する、アルコール摂取は1日平均1/2~2杯の適量とする、果物や野菜、穀物繊維、ナッツ類、豆類、鶏肉、魚を多く摂取し、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取量を少なくした健康的な食事をとることなどが分かった。
5つの生活習慣を守った男性は、全く守らなかった男性に比べて、冠動脈性心疾患の発症リスクが87%低くかった。もし全被験者が5つの生活習慣を守っていたならば、62%は予防できていた可能性があると研究者らは結論づけている。また、降圧薬やコレステロール低下薬を服用中の男性でも生活習慣を守ることで57%を予防できることが明らかになった。
【文献】
Stephanie E. Chiuve, S.E. et al.: Healthy Lifestyle Factors in the Primary Prevention of Coronary Heart Disease Among Men: Benefits Among Users and Nonusers of Lipid-Lowering and Antihypertensive Medications. Circulation 114: 160-167. (2006) [doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.106.621417]
2006/08/07 食べても太らない抗肥満ワクチン
ラットを用いてワクチンで肥満に関与するホルモン(グレリン)の働きを弱め、体重の増加を抑制できたとアメリカ・スクリプス研究所と大阪市立大の研究チームが発表した。人間で同様の効果が得られるかは未知数だが、ワクチン摂取による肥満予防法が開拓されるかもしれない。
グレリン(ghrelin)と名付けられたホルモンは、日本で発見され、食欲促進や脂肪蓄積などの働きがある。そこで、グレリンに対するワクチンを作成し、ラットに摂取させたところ、食べる量に変化はなかったにもかかわらず1日当たりの体重増加はワクチンなしのラットの3分の1以下で、脂肪の蓄積も少なかった。
グレリンは摂食を促進することが知られている。このことから、ワクチンを摂取するとグレリンの働きが弱まり、エネルギー消費量が増えたため、体重が減少したと考えられた。
【文献】
Zorrilla, E. P. et al.: Vaccination against weight gain. Proc. Natl. Acad.
Sci. USA Online Aug. 4 (2006) [doi: 10.1073/pnas.0605376103]
グレリンは、アミノ酸28個からなり、3番目のセリン残基が脂肪酸(n-オクタン酸)でアシル化修飾された構造のペプチドで、強力な摂食促進作用を持つことが知られている。グレリン発見は下記の論文である。
Kojima. M. et al.: Ghrelin is a growth-hormone-releasing acylated peptide from stomach. Nature 402: 656-660. (1999)
2006/08/04 肥満解消には果物と食物繊維の摂取が重要
アメリカ・南カルフォルニア大学で52人の正常体重の人と同数の肥満の人を調査したところ、正常体重の人は、肥満の人より果物と食物繊維を多く摂取していることが明らかになった。60項目の食物頻度アンケート調査から、太りすぎ、または、肥満の人は、総脂肪、飽和脂肪、コレステロールの摂取が多く、炭水化物、複合糖質、食物繊維、果物の摂取量が少ないことが分かった。体脂肪と食物繊維の摂取量、体脂肪と果物の摂取量はともに統計的に有意に逆相関を示した。
以上の結果から、肥満は食物繊維と果物の摂取が少ないことが要因であると結論づけている。
【文献】
Davis, J. N. et al.: Normal-Weight Adults Consume More Fiber and Fruit than Their Age- and Height-Matched Overweight/Obese Counterparts. J. Amer. Diet. Assoc. 106: 833-840. (2006)
2006/08/01 女の子の死因はピーナッツバターではない
ピーナッツバターを塗ったトーストを食べた男の子とキスをした女の子がピーナッツアレルギーで死んだ事実はないと検死官が断定したと2006年5月12日のCBSニュースが伝えている。
2005年11月にカナダ・ケベックに住む15歳の少女の死因はぜん息による発作が原因であることが分かった。少女は、ピーナッツアレルギーだったが、死因と関係がなかった。
検死官は、少女はぜん息による呼吸不全で死んだと結論づけた。ボーイフレンドは彼女とキスする約9時間前にピーナツバターを塗ったトーストを食べたが、ピーナッツの痕跡は彼の唾液の中に長い間残っていることはないと検死官は述べている。最新の研究では、約1時間でその痕跡はなくなるとしている。
少女がピーナッツバターを食べた男の子とキスした結果、死んだかもしれないとの推測は世界中で報道された。しかし、3月に検死官はそのことは誤りであると発表し、5月に死因はぜん息であるとの最終報告書を公表した。
「少女の死因はぜん息」のニュースについて日本語のサイトを検索したが見つけることはできなかった。食物アレルギーの事件として昨年、大きく報道されたのでこのニュースも伝える必要があるのではないだろうか。
多数の個人ウエッブサイトには誤報が今もそのまま掲載されている(3月の報道を掲載していたサイトが2カ所あったが、5月の報道を伝えているサイトは見つけられなかった)。
上記CBSニュースは下記のサイトで読める。
http://www.cbsnews.com/blogs/2006/05/12/publiceye/
entry1614851.shtml

2006/07/31 グリセミック・インデックスで食後血糖値を予測
グリセミック・インデックスで食事を計算するとその食事が血糖値に与える影響の良い予測手段であるとカナダ・トロント大学の研究チームが発表した。食後の血糖値は、脂肪やタンパク質含有量との相関は認められなかったが、炭水化物含有量とグリセミック・インデックス値とは相関関係が認められた。このことから研究者らは糖尿病の食事管理などにグリセミック・インデックスが有用であるとしている。
【文献】
Wolever, T.M.S. et al.: Food glycemic index, as given in Glycemic Index tables, is a significant determinant of glycemic responses elicited by composite breakfast meals. Am. J. Clinical Nutrition 83: 1306-1312. (2006)
2006/07/30 紫外線の影響調査:WHO報告
太陽からの紫外線が原因の悪性腫瘍などで、年間6万人が死亡していると世界保健機関(WHO)が公表した。WHOは、太陽の光は人間が生きていく上で必要なものだが、紫外線を浴びすぎると健康を損なうとして、注意を呼び掛けている。
WHOによると、皮膚がんの中でも悪性の悪性黒色腫で、年間4万8000人が死亡。残る1万2000人が、別の種類の皮膚がんで亡くなっているとしている。
WHOは、くる病や骨軟化症を防ぐビタミンDの生成に紫外線は必要だとした上で、皮膚がんの原因は90%が太陽から降り注ぐ紫外線だと指摘している。
紫外線は目に見えず、感じることもできないが、曇天でも降り注いでおり、直接浴びなくとも、雪や地面、海面で反射したものを浴びる可能性があるとして、十分な注意が必要である。
そのため、直射日光を避けたり、日焼け止めを利用して、過剰な紫外線を浴びないよう呼び掛けている。
WHOのプレスリリースは下記のサイトにある。
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs305/en/index.html
2006/07/28 平成17年簡易生命表が公表
平成17(2005)年生まれの日本人の平均寿命は、男性が78.53歳、女性が85.49歳で、男女とも前年比で6年ぶりのマイナスとなったことが厚生労働省の簡易生命表で明らかになった。マイナスになったのは昨年のインフルエンザの流行による死者数の増加が原因である。
国際比較では、女性は21年連続で長寿世界一、次いで、香港、スペインの順である。男性は前年の2位から4位に下がった。男性の1-3位は香港、アイスランド、スイスの順である。
平成17(2005)年生まれの人が将来、死亡する原因となる可能性があるのは男女ともがんがトップで、心臓病、脳卒中を加えた3大死因による将来の死亡確率は男性が56.3%、女性が54.2%である。3大死因を克服したと仮定した場合、平均寿命は男性が8.49歳延びて87.02歳に、女性が7.68歳延びて93.17歳になるとしている。
平成17年簡易生命表は下記のサイトで読める。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life05/index.html
2006/07/27 乳製品が高血圧を予防
乳製品の摂取が血圧降下に役立つことがアメリカ・ハーバード大学の研究により明らかとなった。
アメリカのFamily Heart Study試験に参加した4,797人を対象に、チーズ、ヨーグルト、牛乳などの乳製品の摂取量(1日3食分以上~1/2食以下)によって4グループに分け、血圧との関係を調べた。
その結果、乳製品の摂取が最も多い群は、最も少ない群に比べ、収縮期血圧が平均2.6mmHg低かった。しかし、飽和脂肪摂取量でみると、血圧に対する効果は飽和脂肪摂取量の少ないグループのみで認められた。このグループでは、乳製品摂取の最も多い群は最も少ない群に比べ収縮期血圧が3.5mmHg低く、また高血圧になるリスクは54%低かったという。
以上の結果より飽和脂肪の摂取に気をつければ乳製品の摂取は高血圧予防に有効であることから、飽和脂肪の多い無調整のものよりも、低脂肪のものがよいとしている。
【文献】
Luc Djousse, L. et al.: Influence of Saturated Fat and Linolenic Acid on the Association Between Intake of Dairy Products and Blood Pressure. Hypertension 48: 335-341. (2006) [doi:10.1161/01.HYP.0000229668.73501.e8]
2006/07/24 食事バランスガイド実施で果物不足
健康の維持・増進を目的に、食事バランスガイドでは、毎日の食事を5つ(主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物)に区分し、区分ごとに摂取適量範囲を示している。
農林水産省が呼びかけた食事バランスガイド調査に応募した4435人の7日間の食事内容を調査した。
その結果、7日間全て食事バランスガイドに沿った食事をとれていた人の割合は全体の0.1%しかなく、反対に1日も守れなかった人の割合は全体の8割以上を占めていた。
適量範囲だったのは主菜と女性の主食のみで、その他の区分では食事量が不足していた。特に果物は男性、女性いずれも適量が2つ(SV)であるのに対し実際に食べている量は約1つ(SV)前後でしかなく、不足が目立った。
参加した人の感想には「朝から野菜を食べないと足りないので前の晩に用意する習慣ができた」(30代男性)という前向きな意見の一方、「考えながら食するのは疲れた」(30代男性)との本音もあった。
農林水産省「食事バランスガイド実践週間」実施結果の概要は下記にある。
http://www.maff.go.jp/www/press/2006/20060721press_7b.pdf
2006/07/23 空腹時血糖値の組み合わせた高血糖測定法
糖尿病や心筋梗塞などの血管障害につながる恐れが高い食後高血糖を1回の血液検査で簡単に見つける方法について毎日新聞が伝えている(07/7/18)。従来の手法では半分程度しか捕捉できなかった糖尿病の初期兆候を80%超の感度で検出できる。
食後、急速に血糖値が高くなりその状態が持続する食後高血糖は、糖尿病の初期の兆候とされる。通常の健康診断で調べる空腹時血糖値では見極めが難しい。
そこで、糖の一種で血液中のブドウ糖の状態と関連する1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)と空腹時血糖値とを組み合わせた測定法を開発し、糖尿病の診断に使うブドウ糖負荷試験と比較したところ、85%前後の高い感度で把握できていることが分かった。
空腹時血糖値のみを基準にした場合は50%程度しか検出されないので食後高血糖の診断法として有用であるとしている。
【文献】
金沢裕一.1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)による食後高血糖のスクリーニング―空腹時血糖値の組み合わせ法―.糖尿病 49: 319 (2006)
2006/07/21 心筋梗塞に関与する遺伝子
心筋梗塞の発症に関与する1塩基遺伝子多型性(SNP)について検討した結果、リスクに関与する遺伝子の型を見つけたと理化学研究所などの研究グループが発表した。
心筋梗塞患者3459人と健常人3955人遺伝子の違いを調べた結果、PSMA6という遺伝子を構成する1個の塩基(SNP)違いが心筋梗塞に関係することが分かった。
心筋梗塞になりやすいGG型の割合は健常人は8.9%であったが、患者では12.4%と多いことから、このGG型を持つ人は、持たない人に比べて心筋梗塞のリスクが1.45倍高くなる。また、この遺伝子の働きを抑制したところ、心筋梗塞の引き金となる心臓血管の炎症作用が抑制された。
【文献】
Ozaki, K. et al.: A functional SNP in PSMA6 confers risk of myocardial infarction in the Japanese population. Nat. genet. Online 16 July (2006) [doi: 10.1038/ng1846]
2006/07/20 血液中のビタミンEと前立腺ガン
血液中のビタミンE(α-トコフェロールとγ-トコフェロール)が高いと前立腺癌のリスクが低いことがフィンランドの50-69歳の男性29,133人の調査から分かった。血液中のα-トコフェロール値が高い人は低い人に比べて51%、γ-トコフェロールでは43%リスクが低くなる。
【文献】
Stephanie, J. et al.: Serum -Tocopherol and -Tocopherol in Relation to Prostate Cancer Risk in a Prospective Study. J. Natl. Cancer Inst. 97: 396-399. (2005)
2006/07/19 肥満と飲料の関係調査
働く男女800人を対象に、飲み物の摂取意識について花王がアンケート調査を行った。それによると1日に摂る飲み物の量は平均1.48リットルと成人に必要な量とほぼ同じであった。よく口にする飲み物はコーヒーや清涼飲料水が35%、アルコール飲料が17%と、高カロリーのものが多かった。
体型評価(BMI)値が25以上ある「肥満者」をみると、よく口にする飲み物は、缶コーヒー46%、アルコール飲料40%、炭酸飲料30%などで、平日の1日に飲み物から摂るエネルギーは平均279kcalであった。一方、「標準」「やせ型」では208kcalと低かった。
花王のプレスリリースは下記にある。
http://www.kao.co.jp/corp/news/2006/2/n20060530-01re.html
2006/07/13 エネルギーの消費の多い高齢者は長生き
70歳~82歳の男女302人を対象に6年間に渡って追跡調査した結果、日々の活動でよりエネルギー消費の多かった人は、そうでない人よりも死亡率が低いことが分かった。
消費エネルギーが1日当たり287kcal増加すると死亡リスクが32%低かった。また、消費エネルギーが1日当たり770kcal以上の人は、521kcal以下の人より死亡リスクが69%低いことも分かった。521kcal/日以下の人の死亡率は24.7%であったのに対し、770kcal/日以上の人死亡率は12.1%であった。
以上の結果より、著者らは、運動も含めどんな活動でもエネルギーの消費量を増やせば高齢者は長生きできると結論づけている。
【文献】
Manini, T. M. et al.: Daily Activity Energy Expenditure and Mortality Among Older Adults. JAMA. 296: 171-179. (2006)
2006/07/10 仕事のストレスとメタボリックシンドロームは関連
仕事にストレスがある人は、メタボリックシンドローム(肥満、高血圧、高コレステロール値など心血管系の危険因子が重なった病態)を発症しやすいとイギリス・ロンドン大学の研究グループが発表した。
35~55歳の英国公務員10,308人を14年間追跡した結果、仕事のストレスが増加するにつれ、メタボリックシンドロームの発症率が徐々に上昇することが分かった。特に、長期にわたりストレスがある男性では、ストレスがないと答えた人よりメタボリックシンドロームの発症率が2倍であった。
過去の研究では、職場で公平に扱われていると感じている公務員は心臓病リスクが低く、職場で権限がない人はリスクが高いという報告がある。労働者の仕事に対するコントロール力と参加意識を高めるよう職場を設計し直したところ、病欠で休む日が少なくなった。
【文献】
Chandola, T. et al.: Chronic stress at work and the metabolic syndrome:
prospective study. BMJ, 332: 521-525. (2006)
2006/07/08 夜の血圧は心不全と関係している
スウェーデンに住む951人の男性を対象に1990年~1995年まで追跡調査を行った結果、夜に高血圧気味である人は、うっ血性心不全を発症するリスクがそうでない人に比べて約2~3倍高く、潜在的に危険であるとスウェーデンの研究チームが発表した。
【文献】
Erik Ingelsson, E. et al.: Diurnal Blood Pressure Pattern and Risk of Congestive Heart Failure. JAMA. 295: 2859-2866. (2006)
2006/07/07 40代は孤独を感じている
孤独感は、心臓病やうつ病などの疾患や、家庭内暴力など他の問題のリスクを上昇させると考えられているが、成人の3分の1以上は孤独を感じており、特に40歳代でその傾向が強いと、イギリスとオーストラリアの研究グループが発表した。
オーストラリアに住む18歳以上の成人1,289人を対象に30分の電話インタビューを実施した結果、成人の35%が孤独感をもっており、そのレベルは20代で上昇し始め、40~49歳でピークに達することが明らかになった。一方、50歳以上ではレベルが最も低かった。退職した人より失職中の人で孤独感が強く、世帯収入が低い人ほど強く感じていた。また、今回の調査結果は、退職で社会的接触が減少し、年齢とともに孤独感が増すというこれまでの見解とは異なっていた。
【文献】
Lauder, W. et al.: Social capital, age and religiosity in people who are
lonely. J. Clinical Nursing 15: 334-340 (2006) [doi: 10.1111/j.1365-2702.2006.01192.x]
2006/07/05 サクランボ果汁で運動による筋肉の回復が早い
サクランボ果汁を飲むと運動後の筋力の回復が早いことがアメリカ・バーモント大学の研究から明かとなった。
14人の男性に対してサクランボ果汁を含む混合飲料を飲む群と、サクランボ果汁を含まない飲料を飲む群に分け、12オンスの飲料を1日2本、3日間飲用し、4日目に片腕の筋肉を20回収縮緊張させる運動を行ったのち、その後4日間、同じ飲料を飲んだ。
その結果、サクランボ果汁には運動で誘発された筋肉損害を緩和する効力があることが分かった。特に、筋力は、サクランボ果汁を含まない飲料群で22%の低下したが、サクランボ果汁入り飲料群では4%であった。
【文献】
Connolly, D. et al.: The efficacy of a tart cherry juice blend in preventing the symptoms of muscle damage. Br. J. Sports Med. Online 21 June 2006 [doi: 10.1136/bjsm.2005.025429]
2006/07/04 日本が高齢化、少子化ともに世界一
日本の人口に占める65歳以上の高齢者の割合は21.0%と世界最高になり、15歳未満は13.6%と世界最低で、高齢化・少子化ともに世界で最も進行した国になったことが、平成17(2005)年国勢調査抽出速報集計から分かった。5年前の平成12(2000)年の調査では、いずれもイタリアに次いで2番目だったが今回逆転した。
昨年の人口は1億2776万人で、5年前より83万人増えた。年齢別では、15歳未満が1740万人、15~64歳は8337万人と、ともに前回より減ったが、65歳以上は481.5万人増の2682万人だった。
日本の高齢者の割合を各国と比べると、1980年に9.1%と先進7カ国で最低だったが、平均寿命の伸びと出生率の低下で急伸した。2000年は17.3%で、人口10万人以上の192カ国・地域中最高だったイタリア(18.2%)に迫り、今回イタリアの20.0%を抜いた。
一方、15歳未満は、前回最低だったイタリアが14.0%で下から4番目になり、日本が最低になった。出生率が改善傾向にあるフランスは18.2%、出生率が2を上回る米国は20.8%となっている。
平成17(2005)年国勢調査抽出速報集計の少子・高齢化のデータは下記のサイトで読める。
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2005/sokuhou/01.htm